前回は、アッバース朝まで話しましたね
今までは1つの王朝が、イスラムの権威を持って、世界に君臨していましたが、
ここからは違います。多くのイスラム系王朝がでてきます


まずウマイヤ朝の残存勢力がイベリア半島に残り、後ウマイヤ朝(756~1031)になります。都はコルドバです
2013-12-30_7-26-28

王で有名なのは、アブド=アッラフマーン3世(位912~961)です

皆さん意外だと思いますが、スペインは800年ほどイスラム勢力に支配されています
そのためスペインに旅行してみてください。イスラムの名残が、あの国にはまだあります


中央アジアには、サーマーン朝(875~999)というのができてます
このサーマーン朝をカラ=ハン朝が滅ぼしてます

さらにカラ=ハン朝を西遼が滅ぼし、西遼はナイマンに滅ぼされ、ここにモンゴル帝国がきます

中央アジアは、王朝名だけ覚えておけば、なんとかなるので、王朝の流れを覚えてください

サーマーン⇒カラ=ハン⇒西遼⇒ナイマン⇒モンゴル帝国


チュニジアには、シーア派の過激イスマーイール派ファーティマ朝(909~1171)ができました。支配権は、エジプトまで及んでいます

ファーティマ朝が、新しい都としてカイロを造営しています
ここは、今のエジプトの首都ですね
2013-12-30_11-58-37

ここにアズハル学院を設立し、イスラムの研究機関にもなりました


後ウマイヤ朝・ファーティマ朝・アッバース朝は、皆「俺が、カリフだ!!」と主張しています
これを3カリフ国鼎立の時代と言ったりします

2013-12-30_8-18-23

イランには、ブワイフ朝(932~1062)ができます
この王朝がバグダードを占領したので、アッバース朝は形骸化してしまいます


ブワイフ朝の特徴は、イクター制をつくったことです。これは給料として、部下に徴税権を与えることです
中東は砂漠ですから、土地をあげるのでなく、徴税権をあげるのは理解できますね


このブワイフ朝を破って、西アジア・中央アジアを支配した国が、セルジューク朝トルコ(1038~1194)です
建国者は、トゥグリル=ベクです。このあたりから、宗教と現実世界のトップが一致しなくなります


かつて日本では、天皇が力を持っていた時代がありましたが、今は総理大臣ですよね!?
この当時もそうです。カリフは権威となり、実際の実力者にはスルタンの称号が与えられました


1071年には、ビザンツ帝国マンジケルトの戦いがあり、これに勝利します
その後小アジアにも勢力が及びます


最盛期は、マリク=シャー(位1072~1092)です。宰相ニザーム=アル=ムルクの力もあり、大いに発展します
ニザーミーヤ学院を設立し、学業を奨励しました


セルジューク朝に変わるように中東で覇権を握るのは、サラディン率いるアイユーブ朝(1169~1250)です
彼はイェルサレムを領土化します。この王朝は、ヨーロッパからやって来る第3回十字軍を退けます
十字軍は、複数回あります


ヨーロッパ史で詳しく説明しますが、十字軍は聖地イェルサレムの奪還を目指してやってきます
なので、中東の人は十字架に対してよい気持ちがありません


赤十字という慈善団体も中東では、自分たちのマークの使用を自粛する時があるそうです
2013-12-30_8-56-2
イスラムでは、三日月がいい意味が考えられています

赤十字のマークも三日月に変わります

2013-12-30_8-56-12



話を戻しましょう。アイユーブ朝の後に君臨するのはマムルーク朝(1250~1517)です
都は、カイロです

この王朝は、モンゴルの攻撃も、十字軍の攻撃も跳ね返して、中東に君臨しました

最盛期は、バイバルス(位1260~1277)の時です


後ウマイヤ朝以後のイスラム王朝も話しましょう
後ウマイヤ朝の次は、ムラービト朝で、その次がムワッヒド朝です

この2王朝は、ベルベル人の王朝です。ベルベル人は、マグリブの先住民です

マグリブっていうのは、北アフリカのことです

だいたい今のモロッコ・アルジェリア・チュニジアのあたりです

イベリア半島最後のイスラム王朝は、ナスル朝(1232~1492)です

都は、グラナダです。この国でアルハンブラ宮殿というのが作られてます
今はスペインで屈指の観光名所ですね。画像問題もよくでます

2013-12-30_11-18-49

インドのイスラムも話しましょう
インドにもイスラムが流入します。皆さんの知っているタージ=マハル宮殿もイスラム建築です

最初にインドに入ったイスラム王朝は、ガズニ朝(962~1186)です
その次がゴール朝(1148頃~1245)になります

あとはデリー=スルタン朝(1206~1526)といって5つの王朝がデリーを都にして連続して誕生しました


アイバクの建てた奴隷王朝に始まり、
ハルジー⇒トゥグルク⇒サイイド⇒ロディー
となります

最初の4王朝がトルコ系で、ロディー朝のみアフガン系です


今回、王朝が出過ぎて、何が何んだかという所があると思います
重要なのは、エリア毎に王朝を覚えることです


王朝の流れだけつかめば、内容を深く聞かれることはありません

イベリア半島なら、
後ウマイヤ朝⇒ムラービト朝⇒ムワッヒド朝⇒ナスル朝
でしたね


中東の王朝の流れ、中央アジア、エジプト等、エリア分けして覚えてください


最後に文化史をちょびっといきましょう

文化史は、イブンが一杯でます


イブン=ハルドゥーンは、歴史書の「世界史序説」を書きました


イブン=ルシュド(アヴェロエス)は、コルドバ生まれで、ムワッヒド朝に仕えてました
彼はアリストテレスを研究していました。なので、アヴェロエスというヨーロッパ名があります


モロッコ出身のイブン=バットゥータ、「三大陸周遊記」という旅行記を書いてます
元時代の大都(現・北京)に行った経験もありましたよね


イブン=シーナー(アヴィケンナ)は、医学書「医学典範」を書いています


文化史では、4つイブンがあると記憶してくださいね


あとは詩人のウマル=ハイヤーム「ルバイヤート」という四行詩集も覚えましょう

あとは幾何学模様のアラベスクと挿絵のミニアチュールを覚えてくれればOKです
2013-12-30_11-49-46


次回は、中世ヨーロッパに行きます

■スポンサードリンク