前回は、アッバース朝まで話しましたね
今までは1つの王朝が、イスラムの権威を持って、世界に君臨していましたが、
ここからは違います。多くのイスラム系王朝がでてきます
まずウマイヤ朝の残存勢力がイベリア半島に残り、後ウマイヤ朝(756~1031)になります。都はコルドバです
王で有名なのは、アブド=アッラフマーン3世(位912~961)です
皆さん意外だと思いますが、スペインは800年ほどイスラム勢力に支配されています
そのためスペインに旅行してみてください。イスラムの名残が、あの国にはまだあります
中央アジアには、サーマーン朝(875~999)というのができてます
このサーマーン朝をカラ=ハン朝が滅ぼしてます
さらにカラ=ハン朝を西遼が滅ぼし、西遼はナイマンに滅ぼされ、ここにモンゴル帝国がきます
中央アジアは、王朝名だけ覚えておけば、なんとかなるので、王朝の流れを覚えてください
サーマーン⇒カラ=ハン⇒西遼⇒ナイマン⇒モンゴル帝国
チュニジアには、シーア派の過激イスマーイール派のファーティマ朝(909~1171)ができました。支配権は、エジプトまで及んでいます
ファーティマ朝が、新しい都としてカイロを造営しています
ここは、今のエジプトの首都ですね
ここにアズハル学院を設立し、イスラムの研究機関にもなりました
後ウマイヤ朝・ファーティマ朝・アッバース朝は、皆「俺が、カリフだ!!」と主張しています
これを3カリフ国鼎立の時代と言ったりします
イランには、ブワイフ朝(932~1062)ができます
この王朝がバグダードを占領したので、アッバース朝は形骸化してしまいます
ブワイフ朝の特徴は、イクター制をつくったことです。これは給料として、部下に徴税権を与えることです
中東は砂漠ですから、土地をあげるのでなく、徴税権をあげるのは理解できますね
このブワイフ朝を破って、西アジア・中央アジアを支配した国が、セルジューク朝トルコ(1038~1194)です
建国者は、トゥグリル=ベクです。このあたりから、宗教と現実世界のトップが一致しなくなります
かつて日本では、天皇が力を持っていた時代がありましたが、今は総理大臣ですよね!?
この当時もそうです。カリフは権威となり、実際の実力者にはスルタンの称号が与えられました
1071年には、ビザンツ帝国とマンジケルトの戦いがあり、これに勝利します
その後小アジアにも勢力が及びます
最盛期は、マリク=シャー(位1072~1092)です。宰相ニザーム=アル=ムルクの力もあり、大いに発展します
ニザーミーヤ学院を設立し、学業を奨励しました
セルジューク朝に変わるように中東で覇権を握るのは、サラディン率いるアイユーブ朝(1169~1250)です
彼はイェルサレムを領土化します。この王朝は、ヨーロッパからやって来る第3回十字軍を退けます
十字軍は、複数回あります
ヨーロッパ史で詳しく説明しますが、十字軍は聖地イェルサレムの奪還を目指してやってきます
なので、中東の人は十字架に対してよい気持ちがありません
赤十字という慈善団体も中東では、自分たちのマークの使用を自粛する時があるそうです
イスラムでは、三日月がいい意味が考えられています
赤十字のマークも三日月に変わります
話を戻しましょう。アイユーブ朝の後に君臨するのはマムルーク朝(1250~1517)です
都は、カイロです
この王朝は、モンゴルの攻撃も、十字軍の攻撃も跳ね返して、中東に君臨しました
最盛期は、バイバルス(位1260~1277)の時です
後ウマイヤ朝以後のイスラム王朝も話しましょう
後ウマイヤ朝の次は、ムラービト朝で、その次がムワッヒド朝です
この2王朝は、ベルベル人の王朝です。ベルベル人は、マグリブの先住民です
マグリブっていうのは、北アフリカのことです
だいたい今のモロッコ・アルジェリア・チュニジアのあたりです
イベリア半島最後のイスラム王朝は、ナスル朝(1232~1492)です
都は、グラナダです。この国でアルハンブラ宮殿というのが作られてます
今はスペインで屈指の観光名所ですね。画像問題もよくでます
インドのイスラムも話しましょう
インドにもイスラムが流入します。皆さんの知っているタージ=マハル宮殿もイスラム建築です
最初にインドに入ったイスラム王朝は、ガズニ朝(962~1186)です
その次がゴール朝(1148頃~1245)になります
あとはデリー=スルタン朝(1206~1526)といって5つの王朝がデリーを都にして連続して誕生しました
アイバクの建てた奴隷王朝に始まり、
ハルジー⇒トゥグルク⇒サイイド⇒ロディー
となります
最初の4王朝がトルコ系で、ロディー朝のみアフガン系です
今回、王朝が出過ぎて、何が何んだかという所があると思います
重要なのは、エリア毎に王朝を覚えることです
王朝の流れだけつかめば、内容を深く聞かれることはありません
イベリア半島なら、
後ウマイヤ朝⇒ムラービト朝⇒ムワッヒド朝⇒ナスル朝
でしたね
中東の王朝の流れ、中央アジア、エジプト等、エリア分けして覚えてください
最後に文化史をちょびっといきましょう
文化史は、イブンが一杯でます
イブン=ハルドゥーンは、歴史書の「世界史序説」を書きました
イブン=ルシュド(アヴェロエス)は、コルドバ生まれで、ムワッヒド朝に仕えてました
彼はアリストテレスを研究していました。なので、アヴェロエスというヨーロッパ名があります
モロッコ出身のイブン=バットゥータは、「三大陸周遊記」という旅行記を書いてます
元時代の大都(現・北京)に行った経験もありましたよね
イブン=シーナー(アヴィケンナ)は、医学書「医学典範」を書いています
文化史では、4つのイブンがあると記憶してくださいね
あとは詩人のウマル=ハイヤームの「ルバイヤート」という四行詩集も覚えましょう
あとは幾何学模様のアラベスクと挿絵のミニアチュールを覚えてくれればOKです
次回は、中世ヨーロッパに行きます
コメント