それでは、ナポレオン以後を話します。天才ナポレオンが、大規模戦争をしたおかげで、戦後処理が必要になりました

それが、ウィーン会議(1814.9~15.6)です

-ウィーン会議-
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議長は、オーストリアのメッテルニヒです。フランスからは、タレーランが参加しています

-メッテルニヒ-
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この会議が、ホントうまく、まとまりません「会議はおどる、されど進まず」とバカにされますあまりに利害関係国が多く、みんなが納得できる条約を締結できません。こういう時にまとまる方法が、共通の敵を持つことです

そう、ナポレオンです。彼が会議中に島流ししていたエルバ島から、リベンジマッチを挑んできました。前回やりましたね

講義 part62 -総裁政府とナポレオン-
http://world-history.blog.jp/archives/5437815.html

これに恐怖した各国は、ナポレオンを退けてから、やっとまとまります。それが、ウィーン議定書です

■ウィーン議定書
・セイロン島(オランダ⇒イギリス領)
・ケープ植民地(オランダ⇒イギリス領)
・マルタ島(イギリス領)
・ポーランド立憲王国(事実上のロシア領)
フィンランド・ベッサラビア(ロシア領)
・ロンバルディア・ヴェネツィア(オーストリア領)
・オランダ立憲王国(ベルギーを併合)
ラインラント(プロイセン領)
・ドイツ連邦
35の君主国と4の自由市で構成。盟主は、オーストリア
・スイスの永世中立を承認
・フランス・スペイン・ナポリにブルボン朝が復活

めっちゃ多いですが、太字は全部聞かれますフィンランドとかも、たまに聞かれます。この議定書によって、できた体制が、ウィーン体制(1815~48)です

原則は、2つあります。正統主義勢力均衡です

正統主義は、フランス革命前の状態を正統と見ようという考えです

勢力均衡は、1国が強大になって、一人勝ちにならないようにする考えです。勢力均衡は、外交学では、基礎中の基礎です。どこかが突出するのを嫌がります

勢力均衡は、今回の議定書のように、「みんなで仲良く、領土の分け前をとろうね」となります

この会議の主要国は、四国同盟(イギリス・ロシア・オーストリア・プロイセン)を結成して、新たなナポレオンの出現を防ごうと画策します。後にフランスも加えて、五国同盟になります

最初は、フランスが加盟していないことを覚えておいてくださいね。加盟国がテストで聞かれたりします

勢力均衡といいつつも、はみ出る国はあります。ロシアなんかは、キリスト教に基づいて、ヨーロッパの国々が参加する神聖同盟を結成しています。アレクサンデル1世が提唱者です

これ、不参加国がよく聞かれます。それは、イギリス・ローマ教皇・オスマン帝国です。まずオスマン帝国は、イスラム教なんで、理解できると思います

■講義 part41 -ティムール・サファヴィー・オスマン朝-
http://world-history.blog.jp/archives/2590485.html

イギリスは、議会を中心に、キリスト教から離れてますから、そういう時代錯誤なものに、参加しません。100年ほど前に、「王は君臨すれども統治せず」が根付いています。ロシアのように王が、ガタガタいうことに否定的です

■講義 part52 -イギリス革命(ピューリタン革命)・名誉革命-
http://world-history.blog.jp/archives/4100267.html
※責任内閣制情報

ローマ教皇は、意外かもしれませんが、派閥の違いで、仲が悪いため、参加していません。カトリックロシア正教の違いです。このあたりの中世キリスト教史は、世界史受験で頻出なので、忘れないように

■講義 part34 -ビザンツ帝国と東ヨーロッパ-
http://world-history.blog.jp/archives/2192820.html
※教会の東西分裂(1054)情報

このようにウィーン体制は、あの手、この手でフランス革命以前に戻ろうとしますが、フランス革命によって、国民が主役の時代を、世界は知ってしまいました

そのため王や貴族などが、もう一度、既得権益を守ろうとしても、もう厳しいです。人々は、彼らに国を統治する理由がないのを知ってしまったからです

彼らが主張する王権神授説などは、キリスト教の権威が失墜した今、意味をなしません。そんな思いが溢れ出る意外な場所が、ラテンアメリカです

次回、ラテンアメリカ諸国の独立いきます

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